ブイ、辺野古に搬入 不意打ちに怒り ゲート前で抗議の座り込み


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米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設反対を訴える市民ら=20日、名護市辺野古のキャンプ・シュワブ新第1ゲート前

 20日未明、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う海底ボーリング調査に先立ち、米軍キャンプ・シュワブに資材が搬入された。住民が寝静まる未明の不意打ちの行動。日曜日早朝から新第1ゲート前には新基地建設に反対する市民団体のメンバーらが続々と駆け付けた。「国は卑怯(ひきょう)なことしかしない」「後ろめたいと思わないのか」。フェンスの外で反発の声が響いた。

 午前5時15分、ヘリ基地反対協議会の安次富浩共同代表の連絡でテントに駆け付けた名護市の田仲宏之さん(42)。10年前のボーリング調査の時から座り込みを続けている。田仲さんは「国はいつも人をだまして昔と何も変わらない。許せない」と憤った。
 市民らは、午前9時すぎから新ゲート前にテントやパラソルを立てて座り込みを開始した。延べ100人が入れ替わり立ち替わりで「ブイ設置やめろ」「新基地反対」とシュプレヒコールを繰り返し、抵抗の意思を示した。
 和歌山県から訪れた医師の伊藤洋さん(67)は年に2度、必ず辺野古を訪れる。「国の卑怯(ひきょう)なやり方は反対運動が怖いからだ」と話す。沖縄で目の当たりにした事態に驚いた。「自分は普段ここにいなくて何もできないが、少しでも応援したい」。ゲート前に座りながら語った。
 テント近くの辺野古の浜では、午前からカヌーの練習が行われた。宜野湾市の40代男性は資材搬入のニュースを知って家族で訪れた。「(国は)後ろめたいと思っていないのだろうか。昼間に搬入すると阻止されるためだと思うが、本当にひどい」と怒りを表した。ブイ設置の動きがあればカヌー隊で沖合に出て、設置を阻止する決意を示した。
 辺野古にあるテントには、朝から市民らが駆け付けた。名護市のカメラマン、山本英夫さん(62)は「防衛局の常とう手段だ。全てが秘密主義で住民をばかにしている」と話した。
 名護市の篠原孝子さん(51)は10年以上座り込みを続けている。「朝早くからテントの激励に県内各地から来てくれる人たちがいる。県民の皆さんは少しだけでもいいので、自分の目でこの現場を見に来てほしい」と訴えた。
 クレーン車の作業をうかがっていた「あらゆる基地の建設・強化に反対するネットワーク」事務局の佐藤浩三さん(52)は「隠れてやろうとするのは、(政府が)正当なことをやっていないと認めているようなものだ」と憤った。
 強い日差しの中、市民らは午後5時まで抗議集会を続けた。