「海の美しさ、米へ伝えたい」 ハルペリン氏、辺野古視察


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
辺野古沖を視察し、海の美しさを体感するモートン・ハルペリン氏(右)=18日午後、名護市辺野古沖

 沖縄返還交渉の際に米政府の交渉担当者を務めたモートン・ハルペリン氏(76)が18日午後、辺野古への新基地建設に反対する市民の船に乗船し、埋め立てが計画される周辺海域を約1時間かけて視察した。

視察後、ハルペリン氏は「この海がいかに美しいか、そして海をこのまま保護したいという地域の思いを米国に伝えたい」と強調。その上で「ここに移設する以外に方法はないか、しっかり考えないといけない」と述べ、新基地建設以外の方法を模索するべきとの認識を示した。
 ハルペリン氏は辺野古漁港で稲嶺進名護市長らの歓迎を受けた後、新外交イニシアチブの猿田佐世氏と乗船。透明度の高い海を見ながら「この美しい海を壊す前に、基地建設が与えるダメージについて日米両政府はしっかり考えないといけない」と静かに語った。
 乗船後は終始にこやかだったが、制限区域を示す浮具(フロート)に近づくと頬がこわばった。米軍普天間移設の歴史や現在の抗議の様子の説明に真剣な表情で聞き入り、「返還交渉をした当時を思い出す」と感慨深げに語った。辺野古沖の平島に集っていたカヌー隊の市民ら十数人が手を振って歓迎した。
 ヘリ基地反対協の安次富浩共同代表は「真実を見極め、沖縄の民意を受け止めてもらい、米国政府に伝えてほしい」と要望した。
 ハルペリン氏は辺野古訪問に先立ち嘉手納基地近くの中古車販売店屋上で、第3次嘉手納爆音訴訟原告団の平良眞知事務局長らから、米軍機の騒音が住民生活に影響を与えている状況などについて説明を受けた。屋上に上がった途端、嘉手納基地の広大さに驚いた様子で見渡し、質問を重ねた。中古車店を営む仲本兼作さん(41)は「住宅の真上を飛ぶ米軍機の騒音を改めてほしい。米政府に伝えてほしい」と訴えると、ハルペリン氏はうなずいていた。