辺野古埋め立て「撤回、法的に可能」 識者、県に意見書


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 沖縄県内の弁護士や行政法研究者らでつくる「撤回問題法的検討会」は1日、県海岸防災課を訪れ、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設問題に関し、仲井真弘多前知事による埋め立て承認は法的に撤回可能だとの見解をまとめた意見書を提出した。検討会は「(承認を検証する県の)第三者委員会の検証結果が出る前に、撤回することも法的に可能だ」と主張した。

 検討会のメンバーは沖縄弁護士会の新垣勉、高木吉朗、喜多自然の各弁護士らと沖縄大学の仲地博教授、琉球大学の徳田博人教授。学説や判例を基に、意見書をまとめた。
 意見書は公有水面埋立法に基づく埋め立て承認に関する県知事の権限の中に、無制限ではないものの承認の取り消しと撤回が含まれると指摘した。その上で、埋め立て申請者である国が撤回により受ける不利益を上回る公益上の必要性がある場合は撤回できるとした。公益上の利益として自然の多様性の保全などを挙げた。
 取り消しと撤回は法的に別の行政行為に当たるとして「瑕疵(かし)の存否の判断を待つことなく、先行して撤回を行うことは法的に十分可能」とした。
 提出後の記者会見で新垣弁護士は第三者委員会の答申を受けての判断が望ましいとしながら「沖縄防衛局が答申前に本格的な埋め立て工事を開始する可能性がある。県が取り得る有力な選択肢として、取り消し前に撤回は可能ということをまとめた」と述べた。
 検討会は同日、県が埋め立て承認・取り消しをした場合に想定される国の対抗策について、県が取り得る対応をまとめた意見書も併せて提出した。