島唯一の給油所なのに1回1000円までしか給油できない… 渡嘉敷島でガソリン不足深刻化 相次ぐ台風で船欠航


この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎
「1台あたり千円まで」と張り紙された給油機=10日、渡嘉敷村の渡嘉敷石油

 【渡嘉敷】相次ぐ台風の影響で、渡嘉敷島内でガソリン不足が深刻化している。島内唯一の給油所、渡嘉敷石油(新垣徹社長)は9月中旬から「1回千円まで」など販売制限を実施。11日に予定する沖縄本島からの輸送もしけの影響で船が欠航する可能性があり、住民やレンタカー会社から「いつまで続くのか」「営業に支障が出る」と不安の声が上がっている。

 渡嘉敷石油は、村営フェリーで1日1回800リットルのガソリンを本島から輸送している。月に1回程度、臨時便が出るタイミングに合わせ沖縄総合事務局や村などに許可を取り、乗客数を抑えた船にガソリンを積んで6500リットルを輸送。渡嘉敷村は観光客が増加傾向で、ガソリンは多いときで1日1500リットルが出るという。連休で観光客が多いときは「1回千円」の制限でも厳しく、1回3リットルに制限した日もある。11日午後の臨時便が出れば制限解除の見通しがつくが、欠航ならさらに制限が続く。

 新垣社長によると、10日現在、ガソリンの残量は約千リットルで「大変厳しい」。11日に輸送できなかった場合、総合事務局などと調整を進める予定で「ガソリンは島民のライフラインであり、何とか臨時便で輸送したい」と話した。村内のタクシー会社、米浜交通の米浜美智さんは「これ以上の制限は営業に支障をきたす。今もお客さんがいないときはエアコンを切り節約している」と訴えた。阿波連集落に住む男性(59)は「高齢者は車が必要だ。いつまで制限が続くのかみんな心配している」と話し、レンタカー会社の従業員は「年配の利用者から『途中で車が止まらないか』と心配されることがある」と話した。