フィリピン残留日系人 早期日本国籍取得へ一括救済を 日本政府に要請へ


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早期の日本国籍取得に向けて会見で協力を呼び掛けるフィリピン残留日系人の訪日要請団の岩緒ホセフィナ(日系2世、前列右から2人目)や寺岡カルロスさん(日系2世、前列右から3人目)ら=28日、東京都の羽田空港

 【東京】太平洋戦争前や戦中にフィリピンに渡った日本人とフィリピン人の間に生まれ、戦後フィリピンに残され無国籍になった比残留日系人の代表団が28日来日し、羽田空港で会見した。比残留日系人の訪日要請団は2015年以来2回目。今もフィリピンには約千人の比残留日系人が残るが、高齢化で年々亡くなっている。存命中の早期の日本国籍取得に向け、今回の来日で一括救済に向けた法改正も含めて要請する。

 支援するNPO法人フィリピン日系人リーガルサポートセンター(PNLSC)の河合弘之代表理事によると、前回の要請では、個人が日本国籍を申請して認められる就籍手続きに外務省が関与する点で前進した。ただ残留日系人の高齢化で、残る全員の救済には時間がないため、今回の要請では法改正など政策判断で一括して救済が必要と日本政府に対応を求める。

 2度目の来日となった寺岡カルロスさん(88)は「4年前は首相が約束してくれ、外務省が動いてくれることになったが、そのスピードではあと50年かかる。一括に日本人と認めてもらいたい」と話した。

 今回の訪日団に初めて参加した岩尾ホセフィナさん(82)の父は日本人の大工だった。父が亡くなり日本人ということで家も焼かれて財産も没収された。「父が亡くなってから苦難の連続。一刻も早く日本国籍を取得したい」と語った。

 29日にはフィリピン国内の約3万4千筆の署名と合わせて新たに、一括救済を目指した国会への請願書を日本国内の約7千筆の署名とともに国会議員に提出する。30日には東京都の主婦会館プラザエフで報告シンポジウムを開く。

 フィリピンでは父親が外国人の場合、父方の国籍になり、21~24歳の間であれば、本人が希望すればフィリピン国籍が取得できる。残留日系人は日本国籍もない中、フィリピン国籍の申請もしてこなかったため無国籍状態となっている。