「私たちの戦後は終わっていない」 日本国籍取得へ署名3万4千筆提出 国会議員にフィリピン残留日系人 法改正で一括救済も


この記事を書いた人 問山栄恵
 早期の日本国籍取得への支援を求め、国会議員(右)に署名を提出するフィリピン残留日系人の訪日代表団ら(左)=29日、東京都の衆院議員会館

 【東京】「私たちの戦後は終わっていない」。沖縄県出身者の子も多く含まれているフィリピン残留日系人の代表団が日本国籍の取得を求めて来日している。29日、東京都の衆院議員会館で日比友好議員連盟の国会議員と面談し、早期に国籍が取得できるよう支援を求める約3万4千筆の署名を手渡した。日本で支援活動するNPO法人フィリピン日系人リーガルサポートセンター(PNLSC)の河合弘之代表理事も、法改正などで一括救済できるよう求める日本国内の署名7千筆と請願書を渡した。

 署名を受け取った議連副会長の生方幸夫衆院議員(立民)は「父が日本人というだけで迫害を受けた人生を想像し、70年、80年置かれた心情を聞くと、日本国籍取得できるように頑張っていきたい」と述べた。

 要請団に今回初めて参加した日系2世の岩尾ホセフィナさん(82)は父が大分県出身。「戦争のせいで父の国、日本とのつながりが途絶えた。皆弱っている。残る時間はわずかだが、どうか日本人と認めてほしい」と訴えた。父が山口県出身の寺岡カルロスさん(88)は「私たちの戦後は終わっていない。人生が終わる瞬間に日本人の父の子で良かったと思えるようどうぞ力を貸してほしい」と語り、残された時間が少ない中での早期解決に協力を求めた。

 残留日系人は第2次世界大戦前や戦中にフィリピンへ渡った日本人とフィリピン人との間に生まれ、戦後フィリピンに残り、日本国籍もフィリピン国籍もなく無国籍になった。フィリピンからの要請団来日は2015年に続いて2回目。残留日系人の高齢化に伴い、「時間との闘い」で早期に一括して国籍取得の対応を求めようと再来日した。【琉球新報電子版】