首里城再建 費用負担焦点に 復元にかかった総事業費は33年間で240億


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火災現場となった首里城の北殿(左)、正殿(中央)、南殿(右)、奉神門(手前の燃えていない建物)=31日午後1時32分、那覇市首里

 【東京】31日の首里城焼失を受け、政府内では再建に向けた検討が加速している。内閣府によると、焼失前の首里城の復元にかかった総事業費は1986~2018年度の33年間で約240億円に上る。再建には相当の期間と費用がかかることも予想される。沖縄観光の面でも首里城の存在は大きいため、政府関係者は「絶対に復元させないといけない」と話し、早期再建に意欲を示している。

 再建に向けては多額に上ることが見込まれる費用負担が大きな焦点になる。

 内閣府によると、今年2月に首里城の管理許可を県に与えるに当たって県と国が結んだ取り決めでは、小規模な修繕は県が、大規模な修繕は国が担うこととされた。内閣府関係者は「今回はどう見ても大規模だ」との認識を示し、国が前面に出て再建に取り組む意向をにじませた。

 再建に当たっては、文化庁のほか、再発防止の観点から消防庁の意見も踏まえることが想定される。そのため、政府内では省庁を横断する検討会を設置する案も挙がっているという。

 内閣府の担当者は「国営公園の建物が、火災でなくなった事例はなかなかない」と話し、予算の確保が課題だ。

 火災からの復旧に対応した支援メニューがない場合は、沖縄関係予算の一部に含まれる国営公園の整備事業を活用することも検討する。補正予算の対応も含め、今後検討を急ぐ。

 首里城正殿が復元されて以降、現在までに建築面で研究が進んだ面もあり、新たな知見をどう取り込んでいくかもテーマの一つとなる。

 県の担当課によると、首里城は火災保険に加入している。ただ、どの程度の保証があるかは現段階では不透明だ。