実施の是非、法廷闘争に 石垣市陸自配備住民投票


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石垣市住民投票報告集会で思いを語る「求める会」の金城龍太郎代表(右端)と弁護団メンバーら=19日、那覇市職員厚生会館

 石垣市平得大俣への陸上自衛隊配備計画の賛否を問う住民投票実施のために、市住民投票を求める会(金城龍太郎代表)が有権者の約4割に当たる1万4263筆の署名を集め、市に直接請求してから1年が経過しようとしているが、住民投票は実現していない。求める会は9月、市長には住民投票実施の義務があるとして、那覇地裁に住民投票実施を求めて提訴した。市側は請求棄却を主張し、全面的に争う姿勢だ。

 住民投票を巡っては、求める会が昨年12月、有権者の約4割に当たる署名を集めて投票の実施を市に直接請求した。しかし市議会が今年2月、市が提案した住民投票条例案を否決。市側は市議会の否決で「地方自治法上の条例制定請求手続きは終了した」とし、署名の効力は失われたとの立場だ。

 求める会は、市自治基本条例では4分の1以上の署名によって住民投票を請求された場合は「所定の手続きを経て、住民投票を実施しなければならない」と市長に投票実施を義務として規定していると主張する。

 19日、那覇市内で開かれた報告集会で司法書士の安里長従氏は、市長の住民投票の実施義務は市自治基本条例成立の過程で、市民で構成する市民検討会議の提案によって付されたと強調する。条例制定をせずに、規則によって住民投票の実施が想定されている地域などの例を挙げ「市議会で否決された場合でも、規則によって投票を実施することができる」と指摘した。

 その上で安里氏は「明らかに市長に実施義務があるのに違法に放置している重大な問題だ」と訴えた。

 求める会の金城代表は法廷で「人間関係が密な島社会で、相手を立てて訴訟することはとても心が痛むことでもある。しかし署名でこれだけ多くの方が勇気を持って住民投票の必要性を示した」と陳述。「当たり前のことを当たり前にでき、間違いを指摘し合える、意見しやすい雰囲気の社会にしたい」と訴え、早期の住民投票実施を求めた。