光害って何? 人工の光が星空や人体に与える影響は 石垣で講演


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光害から八重山の空を守る必要性が強調された「アースナイトデー2019」の講演会=11月23日、石垣港離島ターミナル内の石垣島星ノ海プラネタリウム

 【石垣】星空の大切さを考えようと制定された11月24日の「アースナイトデー2019」に合わせて、沖縄県石垣市は11月23日、石垣港離島ターミナル内の石垣島星ノ海プラネタリウムで「アースナイトデー2019」を開催した。過剰な照明によって夜空から暗さが奪われる「光害」についての講演があり、来場者は八重山の星空を守るための取り組みについて理解を深めた。

 星空ツーリズム(石垣市)の上野貴弘氏が「星空保護区と光害について」と題して講演した。全国で初めて星空保護区に認定された西表石垣国立公園の夜空について説明した後、世界的に問題化している「光害」について解説した。

 世界中の過剰な照明により星空の観察ができないだけでなく二酸化炭素排出量の増加につながるほか、月明かりを頼りにする渡り鳥やウミガメの子どもの行動がかく乱されるなど生態系にも影響を与えていると紹介。人工の光に長時間さらされることによる乳がん発症リスクの増加など人体への影響も説明した。

 石垣島でも街明かりがともる範囲が拡大していると指摘。光害への対策として「上に漏れる光は防犯上も何の役にも立っていないので、傘をかければ良い。必要な照明を消す必要はない」とした。

 パリやニューヨークでは夜間照明の規制があるとして「光害のない街づくりは未来の都市設計のスタンダードになる。八重山で先陣を切って取り組む必要があるのではないか」と話した。

 環境省石垣自然保護官事務所の藤田和也氏も登壇し、島全体で夜空を守る取り組みを進める必要性を強調。「星空保護の考え方や光害対策を示す条例が必要ではないか」とした。