沖縄の海で新種のイカ発見 OISTの豪研究者 ノーベル受賞者で元理事長の名から命名「ブレナーミミイカ」


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沖縄の海で採取され、「ブレナーミミイカ」と名付けられた新種のイカ(沖縄科学技術大学院大学提供)

 沖縄の海で新種発見が相次いでいる。沖縄美ら海水族館では長年飼育してきたイソギンチャクが新種だったことが判明。沖縄科学技術大学院大学(OIST)などの研究チームは新種のイカを発見しており、沖縄の海が多様性に富んだ豊かな海であることを改めて示している。

 沖縄科学技術大学院大学とオーストラリアの研究者による研究チームが沖縄の海に生息するイカが新種であることを特定し、11日付の学術誌コミュニケーションズ・バイオロジーに論文を掲載した。元沖縄科学技術研究基盤整備機構理事長でOIST開学に尽力したノーベル医学生理学賞受賞者の故シドニー・ブレナー氏にちなみ、新種は「ブレナーミミイカ」と名付けられた。

 ブレナーミミイカはダンゴイカ科ミミイカ属の新種で、生体の体長は3センチほど。研究チームは石垣島、久米島、うるま市宮城島、恩納村瀬良垣、名護市大浦湾の浅瀬で卵や成体を採取し、分析した。4列ある腕の吸盤の一番外側の列が他の列より大きいといった特徴や、DNAの違いを網羅的に比較するトランスクリプトーム解析の結果などを基に新種と特定した。

 分子遺伝学者だったブレナー氏が生前「頭足類(イカやタコ)は地球上で最初の知的な生き物だった」と話していたことから、研究者の間では頭足類に対する関心が高まっていた。

 研究チームの一員でブレナー氏と師弟関係にあったOIST分子遺伝学ユニットのダニエル・ロクサー教授は「新種に博士(ブレナー氏)にちなんだ名前を付けることができたのは光栄だ。沖縄や(自宅のあった)シンガポールをはじめ世界中で科学の発展を支えた多大な努力の証しを残すことができる」とコメントした。

 研究結果はダンゴイカの遺伝子や行動、発生を解明する足掛かりとして期待される。論文筆頭著者で現在は広島大学大学院助教で元OIST所属のグスタボ・サンチェス博士は「沖縄の海にこれほど多様な種が生息している理由も探りたい」と話した。