北谷浄水場改良に補助金500万交付 防衛省、PFOS対策に特化


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 【中部】米軍基地周辺の河川を水源とする北谷浄水場からPFOSなどの有機フッ素化合物が検出された問題で、防衛省が2019年度、同施設の設備改良費として県に500万円の補助金を交付することが12日、分かった。設備改良は化合物の防除対策に特化したもので、国が化合物対策に公金を投入するのは初めて。沖縄防衛局は本紙取材に対し、補助金交付はあくまで「安心安全な飲料水の供給のため」だとし、化合物と米軍基地との因果関係の特定を否定した。

有機フッ素化合物の吸着効果がある粒状活性炭が導入された北谷浄水場内の施設(県企業局提供)

 補助金は防衛施設周辺民生安定施設整備事業費を活用する。北谷浄水場を管理する県企業局の担当者によると、設備改良は10月に着工。工期は2023年度までの5年計画で、総額約13億円を投じる。19、20年度は化合物の吸着効果がある粒状活性炭を設計し、21年度以降は設計を踏まえて製造した高機能の活性炭を投入していく。企業局は単年ごとに防衛局に実績報告書を提出し、補助金を受けることになる。補助率は3分の2で、総工費13億円のうち約8億円を防衛省が負担し、残りは企業局の予算から捻出する見通し。

 県はこれまで化合物の除染対策や実態調査などに2億円超を支出したとして補償を求めてきたが、防衛局は米軍基地と汚染との因果関係が断定できないことを理由に支払いを保留している。11日、本紙取材に、防衛局は改めて「米軍基地とPFOS等の因果関係は確認されていない」として、現時点で補償には応じない意向を示した。一方で県が要望している浄水場の設備改良事業については「基地周辺住民の安心安全な飲料水の供給に寄与する」として、本年度から補助金を交付することを決めたと説明した。

 企業局の担当者は「問題の根本解決には、米軍基地内への立ち入り調査が必要だ」と強調。「水道水の化合物を低減し、県民の不安払拭(ふっしょく)に努めると共に、引き続き基地内への立ち入りも求めていく」と述べた。
 (当銘千絵)