辺野古基地建設に〝協力〟する区民の思い 土砂投入から1年 地域の平穏なお遠く


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カヌーやゴムボートで琉球セメントの桟橋から埋め立て用土砂が積み込まれる船を囲み、抗議の声を上げる市民ら=13日、名護市安和の海上

 【名護】沖縄県名護市辺野古の新基地建設で、埋め立て区域への土砂投入が始まって14日で1年を迎えた。粘り強い建設反対運動が米軍キャンプ・シュワブのゲート前や洋上、同市安和で続いている。区民の中には生活のため建設現場や海上抗議に対応する警戒船などで働く人や、埋め立て工事が進む中、基地建設阻止に向けて決意を新たにする人がおり、それぞれの立場で辺野古の海を見つめている。

 辺野古区に住む40代男性は警戒船船長を務める。月に6日程度警備員を乗せ、指定された地点で停船して1日過ごす。「つまらないよ」。やりがいは感じない。

 男性は「工事が早く終わって静かになってほしい」と淡々と語る。辺野古で育ち、基地があり米兵がいるのは「当たり前」だった。「基地建設に抵抗感はない。国から補償をもらって、若い人が辺野古を出なくても暮らせるようにしてほしい」と願う。

 シュワブ内で関連作業に従事する別の男性は土砂が投じられる埋め立て区域を内側から見る。「(設計上の)高さに全然達していない。1年たっても全然進んでいない」と感じている。

 基地の中から進まない工事を見つめる日々を送りながら「完成するまでは建設関連の仕事はあると思う」と安心する。しかし、「基地ができた後のことは見通せない」と不安もぬぐえない。

 シュワブゲート前での基地建設に抗議する座り込みに参加している金城武政さん(63)は1年間を振り返り「国が工事を強行する中、座り込みを続けてきた」と強調する。

 県外からゲート前を訪れる市民や報道陣が増え、関心の高まりを感じている。区民には「おじい、おばあが『辺野古は良いところ』という話をよくする。子どもたちに何を残すかを考えていくべきだ」と語った。