ありのままに生きて ろう者の性的マイノリティー支援 当事者団体「いるまんちゃー」が活動開始 交流会など企画


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自身の性を手話で表す「いるまんちゃー」の(左から)鈴木文人代表、安室ありささん、新垣愛花さん、支援者の幸地孝枝さん=11月、豊見城市真玉橋

 ろう者の性的マイノリティー(LGBTQ)を支援する当事者団体「いるまんちゃー」が沖縄県内で初めて発足し、活動を本格化させている。障がいと性の二重のマイノリティーを生きる中で、孤立している当事者も少なくないという。いるまんちゃーで仲間を得たメンバーは「ろうでLGBTQでも、ありのままに安心して生きていける場をつくりたい」と話し、交流会などを企画している。

 代表でゲイの鈴木文人さん(38)=北谷町=は生まれつき耳が聞こえない。8年前に東京から移住。それまでろう者のLGBTQ団体で活動していたが、県内では当事者と会うことさえなかった。「誰にも相談できず、悩みを抱えている人も多いのではないか。情報交換の場が必要」と思い、昨年3月、いるまんちゃーを立ち上げた。

 メンバーは当事者や手話通訳者ら7人。今年8月、東京のLGBTQ団体の講演会を企画すると、50人近くが集まった。それ以降は交流会を月1回開き、親睦を深めている。男女どちらの性別にも当てはまらない「Xジェンダー」の新垣愛花さん(26)=那覇市=は「同じ悩みを抱えた仲間だから、気持ちを分かってくれる。恋愛相談もできる」と笑顔を見せる。

 LGBTの講演会に行っても、手話通訳がないと内容が分からない。ただ手話通訳があっても、LGBTだと知られるのを恐れ、足を運べない人もいる。「ろうの当事者には情報がなかなか届かない。LGBTの意味を知らない人もいる」と鈴木さん。LGBTへの理解を広めようと、手話通訳者らへの講習会も企画している。

 男性の体で生まれ、女性を生きるトランスジェンダーの安室ありささん(35)=豊見城市=は「LGBTの存在を知って人生が変わった。ここでは自分をさらけ出して安心できる。壁を乗り越え、自分らしく生きる人が増えてほしい」と話し、参加を呼び掛けている。問い合わせはメール(irumancha.oknw@gmail.com)で受け付けている。
 (真崎裕史)