国、見舞金請求権を否定 米軍人強盗巡る訴訟 原告は「SACO合意に基づき支払い義務」 双方の主張平行線


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那覇地裁

 2008年に沖縄市で発生した米軍人2人によるタクシー強盗致傷事件で、被害者側が遅延損害金を含めた損害賠償金2千数百万円を支払うよう国に求めた訴訟の弁論が24日、那覇地裁(平山馨裁判長)であった。答弁書で請求の却下を求めた国側は「見舞金制度は被害者が日本国に対して請求権を有する性質のものではない」とし、訴訟要件を欠くと主張した。次回は来年2月6日に開かれる。

 閉廷後、原告側代理人の新垣勉弁護士は「SACO合意に基づいて規則をつくっているのだから、国には支払いの義務がある」とし、被害者に法的権利が発生するとの見解を示した。

 米軍人・軍属が起こした事件で、訴訟で確定した損害賠償と米側が支払う見舞金の差額を日本政府が穴埋めすることがSACO(日米特別合同委員会)で合意されている。

 この事件で那覇地裁沖縄支部は18年7月、米軍人2人に対して約2642万円(うち遅延損害金約905万円)の損害賠償の支払いを命じる判決を出した。しかし、国側が「加害者本人の責任であり、被害救済とは別」として遅延損害金の分の支払いを拒んだため、原告が提訴した。

 国側は「見舞金制度は国がその裁量により救済を必要と認めて支給するという制度だ」と主張し、被害者の見舞金に関する法的な権利を保障するものではないとした。