首里城再建寄付金の使い道をアンケートへ 沖縄県が方針、意見踏まえて条例化


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 沖縄県は30日までに、首里城再建へ向けて県に寄せられた寄付金の使い道について、県民の意見を踏まえた条例を制定することを決めた。アンケートで広く一般県民から意見を集めるほか、関係団体や寄付者らからの意見も聴き、広い範囲で使い道を検討した上で条例化する。アンケートのためのホームページ設置も検討している。那覇市は、同市に届けられた寄付金を県に託す方針。27日までに県と那覇市には県内外や国外から計約12億4千万円の寄付金が集まっている。

消失前の首里城正殿(資料写真)

 寄付金を首里城再興にどう生かすかについて、県幹部の一人は「広い範囲で練り、どこまで使途として認められるか、アンケートを通じ、県民の意見を踏まえて決めたい。寄付者は正殿本体に使ってほしいところもあると思うので、関係団体や高額寄付者らの意見も聴いた上で条例化を目指したい」と述べた。

 寄付金は、県には27日現在、「ふるさと納税」や口座振り込みなどを通じて8億4千万円余りが寄せられている。那覇市には26日時点で約3億9千万円が集まっている。

 首里城は、城郭内は国営公園であるため政府は、県と連携し国の責任で対応する方針を示している。一方、県は「首里城再興の基本的な考え方」で、琉球文化の再興や、琉球文化を体現できる場として周辺地域の整備検討、風格ある歴史的環境の創出などを盛り込んだ。

 那覇市議会や地元からは中城城跡や円覚寺、御茶屋御殿の復元を期待する声も強い。県民の間には、組踊や古典音楽といった琉球文化などソフト面の強化や、日本軍第32軍司令部の地下壕跡の公開を求める声もある。県によるアンケート実施や寄付金使途の条例化は、こうした意見を踏まえ、首里城再興事業へ県民の幅広い意見を反映させる狙いがある。(中村万里子)