【単独インタビュー】民意に耳を傾けないのは誤り スペイン・カタルーニャ州前首相プチデモン氏 沖縄の新基地建設に指摘


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 スペイン北東部カタルーニャ自治州で2017年10月に独立の是非を問う住民投票を実施したことで、反乱容疑などに問われているカルラス・プチデモン前州首相(57)が4日までに、滞在先のベルギーで琉球新報の取材に応じた。プチデモン氏は米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡り、昨年2月の県民投票で示された反対の民意を日米両政府が無視していることに関して「民意に耳を傾けないことは誤りだ」と述べた。「住民投票の結果を尊重するのは民主主義のルールだ。無視をせず、政治的に対話することが政府の義務だ」などと語った。

「民意に耳を傾けないことは誤りだ」と語るカタルーニャ自治州のカルラス・プチデモン前州首相=ベルギーのワーテルロー

 プチデモン氏への取材は研修でカタルーニャに滞在中の友知政樹沖縄国際大学教授の仲介で行った。プチデモン氏は沖縄に在日米軍専用施設の70%以上が集中していることを「知っている」と述べた。

 辺野古新基地建設を巡り政府と県の裁判闘争が続いていることと同様に、スペイン中央政府はプチデモン氏らカタルーニャ自治州の元閣僚らを訴追し、政治的課題を司法に持ち込んでいる。そのことを挙げて「スペイン政府に司法の独立性を確保するよう、国際社会から勧告が出ている。政治的利益と裁判所がいまだにリンクしているのは独裁政権期から続く負の遺産だ。民主主義の向上に歯止めをかけている」と述べた。

 政府によって自己決定権を侵害されている地方として沖縄やカナダのケベック州などを挙げ、「国家の抑圧を前に手を取り合い、自分たちの未来を自分たちで決めるために取り組まねばならない」と強調した。

 プチデモン氏は2016年に州首相に就任。17年10月1日の住民投票で独立賛成は90・18%(投票率43・03%)だった。スペイン中央政府は「投票は違憲」として、プチデモン氏ら当時の州閣僚らに反乱罪容疑で逮捕状を出した。元州閣僚らには19年10月、禁錮9~13年の実刑判決が出た。

 プチデモン氏は17年10月末からベルギーに避難、スペイン中央政府は欧州逮捕状を出している。一方でプチデモン氏は19年5月の欧州議会議員選に当選、スペイン政府は就任を認めなかったが、同12月20日にEU司法裁判所は当選の有効性を事実上認める判断を出した。

(宮城隆尋)