技術検討委員、辺野古業者から資金提供受ける 公平性に疑問強まる


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【東京】米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡り、防衛省が昨年9月に設置した「技術検討会」の複数の委員が、新基地建設の受注業者から寄付を受け取っていたことが分かった。これまでの検討会の議論では工事そのものに異を唱える意見は出ておらず、業者から資金提供を受ける有識者がお墨付きを与える構図が浮き彫りとなっている。事業の公正性や透明性への疑念は強まるが、防衛省は「特に問題ない」(河野太郎防衛相)と説明している。

 本紙の取材で受け取りが確認できたのは、委員8人のうち青木伸一大阪大大学院教授と、渡部要一北海道大大学院教授の少なくとも2人。辺野古の工事を受注している海洋土木大手の東洋建設(東京)から青木氏は300万円、渡部氏は150万円を研究のための「奨学寄付金」として受け取っていた。

 2014年から19年にかけ毎年50万ずつの寄付を受けてきたという青木氏は、検討会の委員であることについて「建設の是非ではなく技術的に可能かどうかを議論する場で、私情を挟みようがない」と話した。渡部氏は「基礎研究の資金はどこも不足している。文部科学省や大学でも寄付や共同研究を奨励している現状がある」と語った。

 辺野古の新基地建設では、防衛省の別の有識者会議である「環境監視等委員会」の委員らが、工事の受注業者から寄付を受けていた事実が15年に判明。公平性が問題視された。同様の事態が軟弱地盤の改良工事について議論する技術検討会でも発覚した格好だが、河野氏は今月7日の記者会見で「環境監視等委員会は監視をするという役割があるが、技術検討会は技術に関する助言をいただくということで、委員会の性格、性質が違う」と述べ、問題はないとの認識を示した。