子どもたちを乗せた船が攻撃の標的に…「対馬丸」の悲劇を児童らが組踊で熱演


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新作組踊「対馬丸」で、疎開児童を演じる子どもたち=19日、那覇市泉崎の琉球新報ホール(喜瀨守昭撮影)

 沖縄県北谷町内の小中学生が演じる新作組踊「対馬丸」(主催・対馬丸記念館、共催・北谷町自主文化事業実行委員会、琉球新報社)が19日、那覇市の琉球新報ホールで上演された。子どもたちとプロの実演家らの「戦争を風化させない」という強いメッセージを込めた熱演が、会場いっぱいの観客を引き付けた。

 舞台は昨年10月、ちゃたんニライセンターで上演されて以来の再演。対馬丸が米潜水艦の攻撃に遭った1944年8月22日から那覇市の約9割が焼けた「10・10空襲」までの約2カ月間を描く。原作は大城立裕さん、組踊脚本・演出は女流組踊研究会めばな代表の山城亜矢乃さんが務めた。大城さんも会場を訪れ、出演者らが織り成す物語を見守った。対馬丸事件で親戚を亡くした亀島淳一さん(76)=那覇市=は「思い出すと悲しくなって言葉が出ないが、舞台はとても良かった」と目を潤ませた。