ANAが国際貨物ハブ事業を縮小へ 那覇空港拠点の週20便減らす 旅客便で代替も


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 全日本空輸(ANA)は23日、那覇空港を拠点に貨物専用機で実施している国際貨物ハブ事業について、3月29日以降4路線で運休・減便し、現在の週70便から週50便に縮小する事業計画を発表した。貨物専用機による運航を運休・減便した路線は、自社や他社の旅客機の貨物スペースを活用して輸送を代替する。

 現行で週5往復10便を運航している関西―那覇と、香港発那覇着の週5便を運休する。那覇発シンガポール着の週5便は2便に、那覇発バンコク着の週5便は3便に減便する。

 ANAの貨物事業を担うANAカーゴによると、米中貿易摩擦などの影響で2019年の国際貨物事業が低迷しており、需給調整の一環として那覇発着の貨物便を一部運休・減便することになった。沖縄に限らず全国で約3分の1の便を減らす。

 ANAの沖縄発着の貨物便は17年に週120便あったが、同年10月下旬に週90便、18年10月下旬に週70便に減少した。今回の週50便への減便で、貨物専用便による輸送力は最大時の約4割に減った。

 那覇発シンガポール着の減便の代替は、羽田、香港、バンコク発の自社や他社の旅客便の貨物スペースを活用して対応する。那覇発バンコク着の便も同様に、羽田、香港、シンガポール発の旅客便を活用する。関西―那覇は自社の旅客便で輸送する。

 ANAカーゴ沖縄統括支店の渡辺英俊支店長は、国際貨物全体の市況は悪いが、沖縄県産品の海外輸出は増えていると指摘。「海外の航空会社との連携など新たな仕組みを考え、県とも協力して沖縄ハブのネットワークの維持、拡充を目指したい」と述べた。

 県アジア経済戦略課の仲栄真均課長は「減便は残念だが、旅客便の貨物スペース活用で対応する形もあり、県の取り組みを評価し配慮してくれたと思う。今後、企業誘致などを進めて国際貨物の増加に取り組み、再び増便となることを期待したい」と語った。

 県は国際物流を観光、情報通信に次ぐ第3のリーディング産業に位置付けているが、国際経済情勢の改善やそれに伴う国際貨物路線の増加がなければ、中長期の目標指標の到達などはさらに厳しくなる。