感染症専門医師が伝えたい 新型肺炎、今知っておくべきこととは…


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「インフルエンザ対策を適切にすることが重要」と語る椎木創一医師(左)と高山義浩医師=27日、うるま市の県立中部病院

 中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎が拡大を続ける中、中国人観光客の受け入れで県民の間にも不安が広がっている。新型感染症への対応について、県立中部病院感染症内科の椎木創一医師と高山義浩医師は27日、取材に対し「現時点ではインフルエンザ対策を適切にすることが重要だ」と過度に不安になりすぎないよう呼び掛けた。一方で、沖縄は人口密度が高く観光立県であるとして「感染のリスクはある。それを想定して対応することは必要だろう」と提起した。

 椎木医師らによると、新型コロナウイルスは飛沫(ひまつ)や接触による感染の可能性が高く、38度以上の発熱や息苦しいなどの症状が出る。まだデータが足りないとした上で、麻疹(はしか)よりは感染力は低いという。

 対策としてホテル従業員やタクシー運転手など中国人観光客と接することが多い観光業者は、発熱やせきがある観光客に外出を控えるよう促すことが必要と提案した。そのほか、商業施設や飲食店の従業員などはマスクを着用し接客することで、感染防止の一定の効果は期待できるとした。

 医療機関や薬局ではそれぞれ発熱患者とそれ以外の患者を分離することや、時間帯を分けることに気を配る必要性も指摘し「インフルエンザ対策は新型感染症の訓練でもある。それを実施することで自然と新型への対策になる」と呼び掛けた。

 さらに予防接種の重要性も訴えた。「インフルエンザの流行が同時に起こることも怖い。高齢者は肺炎球菌ワクチン接種を完了してほしい」と話した。

 現状は発生早期で武漢への渡航歴があり、症状のある人を補足していく段階で、肺炎の疑いがある人を検査していくことになるという。今後は国が指定感染症に位置付けた場合に流行期医療体制や外国人に対する医療体制、基礎疾患や妊婦などハイリスク者への予防措置など態勢が整えられていくとの見通しを示した。

 その上で「中国で流行しているから中国人全体にリスクがあると、避けるというのは過剰だろう」と指摘した。県内では2018年に麻疹が流行したことを踏まえ、「観光立県として感染症のリスクがあることは表裏一体。自覚して備えをする重要性を再認識してほしい」と話し、市民も含めて日頃からの予防や準備をすることが流行時の冷静な対応につながり、医療の維持を可能にするとした。

 高山医師はインターネット上でQ&A形式の解説記事を掲載する取り組みも独自に進めており、「参考にしてほしい」と話した。
 (謝花史哲)

 高山医師は「ハフポスト」で新型コロナウイルスについて詳しく解説している。記事のリンク先はhttps://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5e2a8d53c5b6779e9c30527b