米軍機飛ぶたびにテレビ映らなくなり… 普天間飛行場周辺で地デジ受信障害広がる 対策工事地域外でも発生


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 【宜野湾】米軍普天間飛行場を離着陸する米軍機の影響により周辺地域で地上デジタル放送の受信障害が発生している問題で、沖縄防衛局と宜野湾市が2011年度までに把握していた地域より広範囲で受信障害が発生していることが28日、分かった。防衛局や市はこれまで一部地域で対策を取ってきたが、住民の苦情を受けて防衛局が新たに実施した19年度調査で、別地域の受信障害が判明した。浦添市の一部でも受信障害が起きている可能性がある。

 地デジ放送開始に伴い、沖縄防衛局は10年度に初めて調査を実施。11年度は防衛局、市がそれぞれ調査した。米軍機の飛来に伴い、テレビ画面がちらついたり、真っ暗になったり、録画中の番組が消えたりする事例が報告されている。

 相次ぐ住民の苦情を受け防衛局は19年5~7月に新たに宜野湾市11地点、浦添市5地点にアンテナを設置。豊見城市にある電波塔「沖縄親局」と、浦添市にある中継局「宜野湾局」の両方向にアンテナを向けて受信状況を調べた。受信状況は「○」(障害を回避できる受信局あり)、「△」(条件付きで回避可能受信局あり)、「×」(回避可能受信局なし)の三つで判定した。

 その結果、宜野湾市の野嵩三区公民館と新城区公民館、伊佐区公民館、長田区公民館で「×」、宜野湾市の大山児童センターと宜野湾区公民館、浦添市の当山小学校で「△」となった。「△」は、沖縄親局と宜野湾局のいずれかにアンテナを向けることで障害の回避は可能としつつ、「設置条件によっては障害となる可能性もある」と指摘した。

 防衛局と市は11年度までの調査で判明した野嵩と普天間、新城の一部で有線ケーブル引き込み工事などの対策を講じた。市は引き続き住民からの情報を求めるとともに、防衛局と対策工事に向け調整を進める。
 (金良孝矢)

「どうにかしてほしい」 住民が不快感あらわ

 

地上デジタル放送で、受信障害が発生しているテレビ画面(宜野湾市提供)

 【宜野湾】米軍普天間飛行場を離着陸する米軍機により周辺で発生している地上デジタル放送の受信障害。米軍機が民家上空付近を飛ぶと、テレビ画面が映らなくなったり、録画中の番組が消えたりする状況に住民は「どうにかしてほしい」と不快感をあらわにする。今回の沖縄防衛局の調査は宜野湾と浦添の2市のみだが、周辺自治体でも障害発生の報告があり、全体像の把握と早期の対策が求められる。

 宜野湾市伊佐の上空周辺は米軍ヘリが旋回し、住民から自治会に受信障害の報告が数多く上がっている。同地域の団地に住む70代女性は「楽しんで見ているドラマが見られなくなることがある。対策してほしい」と対応を求める。

 琉球新報が防衛局に情報公開請求した資料によると、市は2011年度、野嵩と普天間、新城の586人に対し、防衛省の全額補助(費用約6148万円)を受けて対策工事をした。隣接する北中城村は13年度に同補助(約4592万円)を受け、地デジ放送の送信所を村内に整備するなどしている。

 防衛局は10年度に本島中部で調査し、対策は宜野湾の一部のみ必要とする報告書を作成していた。一方、11年度の調査では中城村や北中城村、浦添市、西原町の一部地域も障害が起き得る範囲とした報告書も作成していた。