ダイヤモンド・プリンセス乗客が下船した那覇での行動歴把握難航 国から情報提供なく


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
那覇港に停泊するクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」=1日、那覇港

 2月1日に那覇に寄港したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客から新型コロナウイルスの集団感染が確認されている問題で、沖縄県は厚生労働省に感染者の情報提供を求めている。しかし10日現在、返答はない。クルーズ船内での感染者が増え続ける中、県は那覇に寄港した際の感染者の行動歴を確認したい考えだが、具体的な追跡調査はできていない。

 県は万が一に備え、可能性のある範囲で、乗客と接した港湾関係者や一緒の空間にいた観光バス運転手、ガイド、タクシー運転手らの体調確認を進めている。感染者の行動歴が分かれば調査の絞り込みや拡大もできるが、情報がないため乗客と最初に接した事業者を調査対象とした。

 関係者らによると、感染者の調査などは患者受け入れ先の保健所が担うことになっているという。しかし行動確認は症状が確認された以降に注力し、感染確認以前の沖縄での行動歴は手が付けられない可能性があるという。

 県地域保健課は「感染者の情報があれば、もう少し調査がしやすくなると思う。氏名だけでもとお願いしているが、感染患者が各病院に散っていて時間がかかっているようだ」と頭を抱える。

 一方で、県は乗客と接した関係者について、当初は同意があれば感染の有無を調べる検査をする予定だったが、検査は県内の各保健所が判断することになるという。健康観察する対象者で発熱や咽頭痛など症状が出た場合に、どう対応するかが課題だ。
 (謝花史哲)