環境省も目標値を「50ナノグラム」に 河川などでの有機フッ素 厚労省と同じ値


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 【東京】PFOSなどの有機フッ素化合物の河川や地下水における目標値を議論している環境省の有識者検討会が10日に開催され、水環境における指針値(暫定)としてPFOSとPFOAを合わせて1リットル当たり50ナノグラムとする事務局案を了承した。厚生労働省が2月にまとめた水道水の暫定目標値と同じ値となる。環境省は今後、中央環境審議会などの審議を踏まえ次年度の決定を目指す。

 水環境における目標値を設定する国は初めてとみられる。PFOSなどを巡っては県内の米軍基地周辺で高濃度で検出されており、沖縄防衛局は米軍に対し立ち入り調査を要請したが、日本国内の規制基準がないことなどを理由に米側が拒否している経緯がある。環境省は「指針値の設定をもって、(基地内の)立ち入り調査に向けて関係省庁と協力していく」と話した。

 指針値の設定に合わせ、リスクに関する知見の収集を進める「要調査項目」から、国や各都道府県が物質のモニタリングに努める「要監視項目」へと位置付けを引き上げる。だが、指針値を超過しても罰則などはない。

 また、要監視項目の物質の指針値に「暫定」という表現を付加した。環境省によると、世界保健機関(WHO)も含めて国際的に毒性評価が定まっていないため、暫定という位置付けにしたという。

 環境省は、厚労省が目標値を定めるにあたって参考にした米環境保護庁による耐容1日摂取量(毎日摂取しても健康への悪影響がないと推定される1日当たりの摂取量)とする体重1キロ当たり20ナノグラムを健康影響評価の値に採用した。地下水が直接飲用される可能性もあることから、水道水と指針値をそろえた。