金武町で高濃度のPFOSを検出 河川や排水路など3か所 米軍基地隣接地の数値が最も高く


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 【金武】沖縄県金武町が町内の河川と排水路で実施した水質調査で、国内では使用が原則禁じられている有機フッ素化合物(PFOS・PFOA)が3カ所から高濃度で検出されたことが11日、分かった。米軍キャンプ・ハンセン隣接地での検出数値が最も高かったことから、町は「ハンセンからの排水が原因の可能性が高い」とした。PFOSが検出された排水路はハンセンから米軍金武レッドビーチ訓練場水域に排出されている。農業や生活用水には利用されていない。

 現在、日本国内には法的な順守義務のある水質基準値などはないが、厚労省は4月1日から暫定目標値として1リットル当たり50ナノグラム(PFOS、PFOAの合計値)とする方針。金武町で検出された値はいずれもこの値を超えている。

 金武町は米軍普天間飛行場や米軍嘉手納基地など米軍基地周辺でPFOSやPFOAによる水質汚染が相次いで見つかっていることなどから、2019年10月に町内8カ所の河川と排水路を調査した。このうち、ハンセンからレッドビーチへと流れる排水路の河口部で1リットル当たり300ナノグラムを超える化合物を検出した。原因特定を兼ねて同11月、排水路を河口部からさかのぼって3カ所を追加調査。このうちハンセン付近が1リットル当たり94ナノグラムと最も高く、中流で51ナノグラム、河口部で71ナノグラムを検出した。

 仲間一町長は「県と連携し、原因追及を含めて米軍基地内での専門家による調査を求めていく」とした。

 PFOSは発がん性などが指摘されており、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)で国際的に製造・使用が制限されている。米環境保護庁(EPA)はPFOSなど有機フッ素化合物による地下水汚染の浄化に向けた再調査が必要となる指標を1リットル当たり40ナノグラムとしている。