普天間基地の外に泡消火剤 発がん性PFOS含有、風で近所の園児頭上にも


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米軍普天間飛行場内から流出した泡消火剤を確認する基地内消防職員ら=10日午後6時18分ごろ、宜野湾市(金良孝矢撮影)

 【宜野湾】10日午後4時45分ごろ、米軍普天間飛行場の格納庫で消火システムが作動し、発がん性が指摘される有機フッ素化合物の一種PFOS(ピーフォス)を含む泡消火剤が放出された。消火剤は雨水排水用の水路で水に混じり、基地外の南側に流出した。風にあおられ、宜野湾市真栄原や大謝名周辺の住宅街に降った。沖縄防衛局は米側の情報として「泡消火剤が使用された際に、かなりの量が市側に漏れ出した」と説明した。
 
 宜野湾市上下水道局によると、消火剤が漏出した水路の水は下水処理されず、比屋良川に合流して牧港湾に流れ出る。防衛局によると、周辺地域への被害は把握していないという。

 琉球新報社の取材に対し、米海兵隊は一部の泡を封じ込めたことに触れて「事故の詳細は調査中」と答えた。米海兵隊太平洋基地(MCIPAC)の環境担当者が日本政府や県、市などと連絡を取っているとして「泡に遭遇する可能性のある人は、泡に近づかないようにしてほしい」と呼び掛けた。

 宜野湾市の松川正則市長は「度重なる事故で、非常に遺憾だ。PFOSは市民も心配しているので、しっかり管理してもらわないといけない」と指摘した。現場対応に当たった普天間飛行場の基地司令官デイビッド・スティール大佐から、電話で事故の報告とおわびがあったという。松川市長は、基地内に入って現場で説明するよう要求した。

 玉城デニー知事は記者団に「調査中だ」と述べるにとどめた。普天間飛行場では昨年12月にも泡消火剤が漏出する事故が発生した。

 水に混じった消火剤は、水路から勢いよく基地外に流れ出ていた。

 目撃者によると、数センチ~数十センチほどの泡が、近くの保育園で帰宅しようとしていた園児の頭や住宅街に降り注いだ。保育園の関係者は「米軍は安全に配慮した行動をしてほしい」と憤った。

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