「感染者が出た」新型コロナのデマ情報がSNSで拡散 商業施設「売り上げ減った」 沖縄県内で実害


この記事を書いた人 Avatar photo 米倉 外昭
「新型コロナウイルス感染が出た店舗一覧」とするツイート(画像の一部を加工しています)

 沖縄県内で新型コロナウイルスの感染者が増える中、実際の商業施設名などを一覧表にして感染者が出たとするデマ情報がこの1週間でSNSを中心に拡散している。名指しされた店舗からは「売り上げが減った」「迷惑している」と悲鳴が上がる。

 人々の不安心理を背景に広がったデマが実害につながった格好で、外出自粛で消費が冷え込む中、事業者にとっては追い打ちをかけられた形となった。

 「陽性者も濃厚接触者もいない」。店舗関係者は一様にこう語る。

 店舗名をさらされたのはカインズFCあがり浜店、サンエー西原シティ、JAおきなわファーマーズマーケットいとまんなど。いずれの店舗でも利用客などから問い合わせが殺到している。

 カインズFCあがり浜店の担当者は「お客様から不安の電話などがたくさんあった」と明かす。同店ではデマ情報拡散前に配線工事をしていて「それが消毒作業だと勘違いされた可能性がある」としている。

 JAおきなわファーマーズマーケットいとまんは4日ごろから問い合わせが相次いだ。その日は那覇市松尾の第一牧志公設市場で感染が確認され一時閉鎖が発表された。ファーマーズマーケットいとまん関係者は「関連づけられたのでは」と推測。ホームページで「完全なデマ」と否定している。

 「宜野湾長田の100均」と名指しされたダイソー&アオヤマ100円プラザ宜野湾店の担当者は「被害を受けている。先週と比べて今週の売り上げは15~20%の落ち込みがあった」と明かす。デマが実害につながった。

 SNSで拡散する情報にはほかにも特定の地域や病院を特定して感染者が出たとする真偽不明の情報も広がる。本島中部のある自治会長は「区内に住んでいるタクシー運転手が陽性だったという話がある。確認していないがそんな話ばかりだ」と憤る。

 ただ「一覧表」などの情報には実際に感染者が確認された企業や商業施設の情報も一部含まれていた。デマ情報に事実も織り交ぜられたことで、真実味が増して拡散したとみられる。

 ただ、感染者が確認された施設でも保健所の指導で消毒するなど感染対策が講じられて、営業を再開している。感染予防のためにも正しい情報に基づき、正しく恐れることが求められている。