「サイズが小さくて実用的ではない」 政府配布の布マスク、早くも不評 「国会議員はサージカルマスクなのに」 


この記事を書いた人 Avatar photo 斎藤 学
介護施設に優先配布された布マスク(右)と普段から施設で使用している不織布のサージカルマスク。政府の布マスクは小さく使いづらいとの声がある(関係者提供)

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、政府が介護施設などに優先配布している布マスクについて、関係者から「サイズが小さくて実用的ではない」「国会議員がサージカルマスクで、なぜ現場が布マスクなのか」といった声がりゅうちゃんねる取材班に寄せられた。安倍晋三首相肝いりの国民全世帯に2枚配布される布マスクは、17日から郵送が始まる。県民からは「同様のマスクだったらいらない」といった声も上がる。

 本島南部の介護施設に8日、厚生労働省から優先配布の布マスクが届いた。職員の40代女性は「小さくて使いづらい。ガーゼが重なっていて息苦しく、動き回る仕事なので実用的ではない」と使い勝手の悪さを指摘する。

障がい者施設に優先配布された布マスク2種類。上は「小さい」下は「ひもが伸びない」など不満の声が上がる(関係者提供)

 普段使用している不織布のサージカルマスクは、横17・5㌢、広げると縦15㌢までに伸びる。一方、厚労省から届いた布マスクは横13・5㌢、縦9・7㌢と小さく、伸縮性もない。女性は自前でサージカルマスクを調達しており、在庫も少なくなってきた。布マスクは着けると頬に隙間ができるため「感染症予防にならない」と、当分は使わないという。「テレビで見る国会議員はいつもサージカルマスクを着けていて、なぜ医療や介護現場の私たちが布マスクなのか。腹立たしい気持ちになる」と政府の対応に不満を示した。

 沖縄市の障がい者施設でも同様の声が上がっている。施設には2種類の布マスクが届いたが、1種類はひもが伸びず、耳が痛くなるという。理事長の男性は「長時間着けると苦しい」と明かし、政府の布マスクの利用者は施設全体の半数に満たない。理事長は「マスクが届いてうれしかった」と感謝する一方で「感染防御の視点からも布マスクは性質が落ちる。サージカルマスクを送ってもらえたら、すごく助かる」と求めた。

 厚労省は3月、再利用できる布マスク2千万枚をメーカーから一括購入し、介護施設などに1人1枚は行き渡るよう優先配布している。
(阪口彩子)

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