政府、辺野古新基地設計変更を申請 軟弱地盤改良工事を追加 沖縄県は承認しない見通し


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国が県に提出した普天間飛行場代替施設建設事業の「公有水面埋立変更承認申請書」=21日午前9時半ごろ、名護市の北部土木事務所

 【東京】米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡り、政府は21日、軟弱地盤の改良工事に伴う設計変更を沖縄県に申請した。地盤を固めるため砂ぐいを打ち込む工事を追加し、埋め立てを進めるため護岸配置などの工程も変更する。県が承認した時点から埋め立て工事を経て米軍の使用開始までに12年かかると見込み、総経費として9300億円を見積もった。県の承認が得られる見通しがないまま政府が申請に踏み切ったことで、新基地建設は新たな節目を迎えた。 

 政府からの設計変更の承認申請について玉城デニー知事は21日、記者会見を開き「対話に応じず県民に十分な説明をしないまま、工事の手続きを一方的に進めるのは到底納得できない」と反発した。「新型コロナウイルス対策に一丸となって取り組む時だ。その中での申請はスケジュールありきで遺憾だ。断じて容認できない」と批判した。「提出された以上、審査を行う」と述べたが、新基地建設阻止の立場から設計変更を認めない見通し。

 沖縄防衛局の職員が21日午前、名護市の県北部土木事務所を訪れて約1800ページの申請書類を提出した。河野太郎防衛相は直後の記者会見で「普天間飛行場の一日も早い危険性除去の思いは県も国も同じなので、県に適切にご判断いただけると思う」と述べた。

 改良工事が必要な地盤は大浦湾側に約66.2ヘクタールにわたって広がる。地盤改良には約4年1カ月かけ、砂ぐいなど約7万1千本を打ち込む工法を予定している。総経費のうち地盤改良に約1千億円を見込む。

 このほか設計変更に伴い、当初計画で資材置き場として予定していた辺野古漁港付近の埋め立て(約4.6ヘクタール)を取りやめる。別の埋め立て工区で代替するためで、これにより埋め立て総面積は当初計画の157ヘクタールから152ヘクタールになる。埋め立てに使う計画だった海砂は地盤改良に回し、新たにリサイクル材を追加した。

 米軍の使用開始までにかかる12年のうち、埋め立て工事には9年3カ月を要する。