【記者解説】泡消火剤流出 放置の米軍に重い責任


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 米軍普天間飛行場から流出した泡消火剤が、周辺の環境を汚染していることが明らかになった。発がん性などが指摘されているPFOSだけでなく、同様のリスクが懸念されているPFOAが多く流出していたことも判明した。周辺の水から検出された有機フッ素化合物の値は、地下水汚染を判断する米国の暫定指標値を大幅に超えていた。

 宇地泊川で飛散した泡を回収することなく放置した米軍の責任が一層重く問われる。

 米軍はこれまで基地内で発生した環境汚染について積極的に公表しなかった。しかし今回の流出事故は明らかに泡消火剤が基地から流れ、飛散したものであることが確認された。日米地位協定の環境補足協定に基づく立ち入りを米軍が初めて認めざるを得ない状況になった。

 米軍基地周辺の湧き水などでは高い値のPFOSなどが検出されているが、日米両政府は基地由来であることを断定してこなかった。本来は米軍が自ら汚染源を明確にし、再発防止を徹底するなどの責任を果たすべきだが、日米地位協定は米軍の原状回復義務を免除している。

 しかし市民や県民の不安は頂点に達している。基地由来が明らかであるにもかかわらず、環境汚染を放置する対応は許されない。

 日本政府には、米軍に原状回復義務を課すなど日米地位協定の改定を強く求める姿勢が求められる。

 高濃度の有機フッ素化合物が検出された水の採取場所付近で県と市も水を採取した。その分析結果も注目される。

 継続的な調査と結果の公表により、環境への影響を監視することも日米両政府はじめ、県や市の責務だ。
 (金良孝矢)