「もし触れていたら」 泡消火剤流出に住民ら不安と怒り


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米軍普天間飛行場から流出し、風に漂う泡消火剤=11日午前8時10分ごろ、宜野湾市の宇地泊川(金良孝矢撮影)

 【宜野湾・浦添】沖縄県宜野湾市の宇地泊川近辺で、米国の地下水汚染を判断する暫定指標値を大きく上回る有機フッ素化合物PFOSなどが検出された問題で、周辺住民からは23日までに健康への影響を不安視する声が上がった。漁業関係者は汚染による風評被害を懸念し、県の調査結果の迅速な公表を求めた。

 宇地泊川沿いに住む女性(73)は、高濃度のPFOSなどが検出されたことを聞き「恐ろしい。もし触れていたら体に害が残ることはないのか」と表情を曇らせた。流出前は、子どもたちが釣りや川遊びを楽しむ姿を見掛けることもあった。「子どもの遊び場が奪われた。米軍は洗浄を徹底するなど、責任を取るべきだ」と訴えた。

 泡消火剤が飛散した、宜野湾市真栄原の保育園の近くに住む女性(34)は「急性毒性はないとの情報があったが、基準値よりも高濃度の有害物質が触れる距離にあったというだけで、恐怖だ」と怒りをあらわにする。流出した泡は全部は回収できず、海へ流れ出たことにも触れ「全部きれいになくなることはないだろう。県は、健康に影響がないか徹底的に調査してほしい」と話した。

 浦添宜野湾漁協の中西聡明組合長(51)は「漁業者としては風評被害につながることが一番怖い」と吐露する。今は不安な気持ちで県の調査結果を待っているとし「魚に影響がないと断言されることを願っている」と語った。


<用語>PFOS・PFOA
 有機フッ素化合物の一種。発がん性などが指摘され、PFOSは残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)で国際的に製造・使用が制限され、国内でも一部例外を除き原則的に使用・製造が禁止されている。PFOAは世界保健機関(WHO)の外部機関が発がん性の恐れがある物質に指定し、主要な化学メーカーが既に自主的に使用を廃止している。物質としての安定性が高いため、環境中でほとんど分解せず、生物中に蓄積することが懸念されている。