沖縄県議選、都市部4選挙区が無投票 辺野古地元の名護も


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フェイスガードを着用し、選挙カーから支持を訴える運動員=29日午後、本島南部

 6月7日投開票の第13回県議会議員選挙は29日に告示され、4選挙区の無投票が決まった。4選挙区での無投票は1972年第1回県議選と並んで過去最多だ。4選挙区の有権者数は27万7861人に上る。県選挙管理委員会の担当者は「新型コロナの感染拡大が立候補の動きを鈍くした」との見解を示す一方、専門家は「政策論争の機会が失われた」と指摘した。

 無投票の選挙区は、名護、うるま、浦添、石垣の4市区。新型コロナウイルスの感染拡大の影響を考慮して立候補を取り下げる政党もあり、立候補者数は2016年の県議選と比べて7人減少した。県選管によると、第1回は糸満市、平良市(現宮古島市)、石垣市、国頭郡区が無投票だった。

 県選管の担当者は「第1回と比べ、今回無投票になった4選挙区は人口の多い都市部であることが特徴だ」とした上で「無投票だとしても当選した議員は県民の代表に変わりない。県民は県議会の役割を理解し、関心を持ってほしい」と呼び掛けた。

<識者談話>政策論争 機会失う 黒柳保則(沖国大教授)
 

 これまで無投票の選挙区数が最多だった1972年は世替わりの混乱期であり、現在の新型コロナ禍と重なる。「選挙どころではない」という世相もあると思うが、今後4年間の沖縄の方向性を選択する重要な選挙だ。いずれの市も基地問題や地域振興などの重要な争点を抱えているが、政策論争の機会を失った。

 今回の県議選は玉城県政の評価について、民意を反映する選挙とも位置付けられる。このような状況だからこそ、長期的な視野を持って潜在化している課題を問い直す必要がある。人口の多い4市区で無投票になったことは残念だ。選挙によって政治家はもまれる。民意を示す有権者教育の側面もある。

 政治家は目前の危機に対応することも大切だが、潜在する課題に目隠し状態ではいけない。今後、地域の課題をいかに掘り起こすか、議員の手腕が問われている。
 (地方自治論)

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