「パワハラねつ造された」島尻消防組合の職員が提訴 幹部5人に賠償求める


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島尻消防本部=2019年11月

 島尻消防組合(沖縄県南城市)で「職場内でのパワハラ」などを理由に減給処分を受け、その後、県人事委員会に処分を取り消された同組合職員の男性(50)が、幹部5人からパワハラをねつ造されるなどの嫌がらせを受けたなどとして、5人に500万円の損害賠償を求めて、那覇地裁に提訴したことが5日、分かった。提訴は5月29日付。男性は「減給処分の取り消しが決まってからも組合側から謝罪を受けていない」とし、「これまでに誠意ある対応がなかったため、やむなく訴訟に踏み切った」と話した。

  訴状によると、男性は2018年2月、幹部5人らで構成された同組合の「分限懲戒審査委員会」の調査で、部下へのパワハラと現場指揮における内部規律違反を認定され、同3月に6カ月間・月額10分の1の減給処分を受けた。男性は処分を不服として県人事委員会に処分取り消しを求める審査請求を行い、県人事委が昨年11月、処分取り消しを命じる裁決をしていた。

 男性は、処分の根拠となった調査で、幹部らがパワハラの証言を得るために男性の部下に「高圧的かつ誘導的な事情聴取」をしたり、男性に「電話による嫌がらせ」をしたりしたと主張。男性の内部規律違反を認定するために規定書の改ざんなどの不法行為が行われたなどとしている。

 男性の代理人を務める仲宗根忠真弁護士は「結論ありきの男性への処分のために常習的に不法行為が行われた」と指摘し、「民事訴訟の進展を見ながら幹部の刑事告訴も検討している」と明かした。同組合は「訴状を確認していないのでコメントできない」としている。

 県人事委が男性への処分取り消しを決定した後の昨年12月には、同組合の管理者である瑞慶覧長敏南城市長が男性に謝罪した。

 同組合では男性の処分をめぐる問題のほか、救急活動に関する報告書の書き換えなども発覚。これを受け、第三者委員会が3月に設置され、専門家による調査が行われている。