北谷基地跡地廃棄物問題 町の買い取り地以外の地主も交渉 「ごみを全部取り出して」


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 沖縄県北谷町上勢頭の米軍基地返還跡地からダイオキシン類を含む廃棄物が発見され、北谷町が買い取りを決めた問題で、そのほかに上勢頭地区の地権者が町や沖縄防衛局に対応を求めて交渉している事例が少なくとも3件あることが15日、分かった。地権者の一人は防衛局に電話で「ごみを全部取り出してくれ」と訴えていた。訴訟を起こした地権者もいる。

 インフォームド・パブリック・プロジェクトの河村雅美代表が情報公開請求で入手した防衛局資料で判明した。補償についても町と防衛局で協議した形跡があるが、具体的な内容は黒塗りだった。公金を使う補償などの決定が不透明な形で進んでいることが分かる。

 廃棄物が埋まっている一帯は米軍嘉手納基地の跡地で、1996年に返還された。町が別地域への立ち退きに協力した町民に対し、代わりの土地として一部を提供してきた。返還跡地の一部では2011年に廃棄物が見つかり、15年に環境基準値を超えるダイオキシンが検出された。町は今年、その土地を買い取る方針を固め、費用として約5400万円を確保した。

 今回、その買い取りが決まった土地とは別の土地でも地権者が廃棄物による不利益を訴えて対応を求めていることが判明した。地権者の一人は防衛局に電話し「地権者は死ぬまでごみの上で暮らすことになる」などと反発し廃棄物の撤去を求めていた。
 (明真南斗)