陸上イージス中止、沖縄への影響は? 東京でシンポ 東アジア版INF提起


この記事を書いた人 Avatar photo 宮里 努
東アジア共同体研究所琉球・沖縄センターによる「自衛隊南西シフトと新冷戦」シンポジウム=20日、東京都の鳩山会館

 【東京】陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」計画停止の展望や、先島の自衛隊配備を世界的な視点で考えるシンポジウム「自衛隊南西シフトと新冷戦」(東アジア共同体研究所琉球・沖縄センター主催、琉球新報社共催)が20日、東京都の鳩山会館で開かれた。陸上イージス計画の停止は攻撃型ミサイル配備と連動しており、沖縄への配備の懸念も上がった。その上で1980年代に欧州での反核、軍縮の動きがある中で中距離核戦力(INF)廃棄条約が締結されたように、東アジア版INFの必要性が示された。 

 軍事ジャーナリストの前田哲男氏は、陸上イージス計画停止の背景として米国のINF破棄を挙げ「中距離弾道ミサイルを禁止してきたINFがない、無条約時代の到来で、米国から攻撃型ミサイル配備の要求がくる可能性がある。それを自民党のタカ派がバックアップする流れになるだろう」と分析した。

 先島の自衛隊配備を追跡している小西誠氏は、ミサイル部隊の配備について「自衛隊の教範にも書かれているブースター落下の危険性について住民に一言も説明していない。大きな問題だ」と指摘した。

 ビデオメッセージで参加したジャーナリストの吉田敏浩氏は、米軍訓練空域の問題に触れ「全国の空域を勝手に設定して訓練している実態がある。排他的管理権を許していること自体を改めないといけない」と述べ、日米地位協定の改定と国会による運用監視を求めた。

 琉球新報の新垣毅政治部長は、米国による沖縄への新中距離弾配備計画を説明し、非軍事による安全保障の重要性を強調した。研究所理事長の鳩山由紀夫元首相も同席し、外交努力によって戦争回避を模索していくべきだと述べた。

 シンポジウムは7月13、20日に動画投稿サイト・ユーチューブの「UIチャンネル」で放映する。今後、那覇市内でも同様のシンポジウムを予定している。