平和、沖縄から発信 沖縄戦75年 きょう慰霊の日


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平和の礎の前で手を合わせる遺族=16日午前11時ごろ、糸満市摩文仁の平和祈念公園

 沖縄県は23日、「慰霊の日」を迎えた。住民を巻き込んだ悲惨な地上戦となり、多くの尊い命や文化遺産を奪った沖縄戦から75年。激戦地となった糸満市摩文仁の平和祈念公園では、午前11時50分から県と県議会主催の沖縄全戦没者追悼式が開かれる。新型コロナウイルス感染対策で規模を縮小し、招待者のみ200人程度が参列する。20万人以上の戦没者に思いを寄せ、世界の恒久平和を願う沖縄の心を発信する。

 追悼式では玉城デニー知事が「平和宣言」をする。初めて国連から軍縮担当上級代表の中満泉事務次長、原爆の被害を受けた広島市の松井一実市長と長崎市の田上富久市長がビデオメッセージを寄せる。安倍晋三首相と関係閣僚らは参列せず、首相もビデオメッセージを寄せる。

 犠牲者の名前を刻んだ「平和の礎」はことし新たに30人が追加され、刻銘者総数は24万1593人となった。22日も雨が降りしきる中、手を合わせる遺族の姿が見られた。

 那覇市の内間安弘さん(79)は現地召集され亡くなった兄4人の名が刻まれている。沖縄戦当時は4歳だったが「硝煙の臭いや、しかばねが重なる風景は覚えている。来られる間は来たい」と話した。