「バスケから平和と希望メッセージ」慰霊の日で特集 雑誌「アウトナンバー」


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沖縄バスケットボール情報誌「アウトナンバー」の第8号を手にする金谷康平編集長=12日、沖縄市の中央パークアベニュー

 沖縄バスケットボール情報誌「OUTNUMBER(アウトナンバー)」(金谷康平編集長)が戦後75年の慰霊の日に合わせ、今月発売した第8号で「平和と希望」と題した特集を組んだ。身体接触を禁じたプレーの原則が平和の理念にもつながるという点と重ねて、沖縄戦についても振り返る。金谷さんは「戦後75年で戦争体験者はどんどんいなくなっている。バスケを通して平和のメッセージを発信したい」と企画意図を語った。

 特集では、バスケ専門誌「月刊バスケットボール」の初代編集長を務め、NBA解説でも知られる島本和彦さんに沖縄戦やバスケに関する施設を巡ってもらい、様子を紹介している。

 1946年生まれで「戦後生まれ第1号。沖縄の壮絶な戦争の跡をたどって知りたい」との気持ちを持っていたという島本さん。沖縄のバスケの歴史に関係する場所を訪れながら、県平和祈念資料館やひめゆり平和祈念資料館、不屈館なども巡った。沖縄バスケや沖縄戦の歴史をまとめた年表を掲載。訪問先で出会った人と撮影した写真も載せ、1941年に撮影された県立第一高等女学校バスケットボール部の写真もある。

 バスケの起源も紹介する。カナダの教育者、ジェームズ・ネイスミスが冬場でも学生が意欲的に取り組める室内競技として1891年に考案。教育を目的に、当初は身体接触をより厳しく禁止していたことを解説している。

 アウトナンバー編集長の金谷さんは東京出身だが、母が沖縄出身。祖母は米軍の攻撃を受けて沈没した対馬丸に乗る予定だったが、直前で疎開をやめ、乗船しなかったという経緯もあり、企画につなげた。

 県内のコンビニエンスストアや書店などで販売するほか、アウトナンバーのホームページからも購入できる。税込み350円。