「思いやり持ち、わかり合えば平和に」特別誌面に「平和のうた」掲載、北角さん③


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 平和への願いや反戦の思いは、若い世代に引き継がれている。沖縄戦体験者の思いを受け止め、過去の沖縄全戦没者追悼式で自作の詩を力強く朗読した若者がいる。皆が笑い合える社会を望む気持ちを、詩に込めた児童がいる。沖縄戦から75年がたった。明るい将来を願う3人に話を聞いた。

平和の尊さなど学んだことを話すアミークス5年の北角真路さん=20日、糸満市摩文仁の平和祈念公園

 琉球新報1面で掲載している、日々の暮らしの中で感じた「平和」を琉歌・短歌・俳句・川柳の4分野で自由に表現する一般公募企画「沖縄戦75年 平和のうた」。寄せられた詩の一編が、慰霊の日の特別紙面に掲載した沖縄アミークス5年、北角真路(まはろ)さん(10)の「平和のドア」だった。

 企画対象からは外れる。だが、内容が若い世代への継承を表しているだけでなく、黒人暴行死が発端になった人種差別など今日のさまざまな社会問題に触れていた。その上で素直に「争いのない世界」を思い描いた詩の内容が、沖縄戦75年の節目の年にふさわしいと編集局内で判断し、今回の掲載となった。

 詩を書いた北角さんに20日午後、糸満市摩文仁の「平和の礎」で話を聞いた。北角さんが平和の礎を訪れたのは初めて。「たくさん名前があって多くの人が亡くなったと思うと悲しい」と声を落とした。「みんなが笑顔で暮らせる社会になってほしい」と願いを込めた。

 戦争を経験した世代が減っている。「おばあちゃんたちから戦争体験を聞いて伝えることで、戦争をしてはいけないという思いを持ち続けると思う」。詩では沖縄の「平和のドア」は「いつ開くのかな」と結んだ。北角さんは「基地の騒音で困っている人も、反対している人もいる。みんなが思いやりを持って考え、分かり合えれば平和になるのだと思う」。率直に言葉を紡いだ。 (宮城久緒)