辺野古工事「ジュゴン保護の姿勢見られず」 沖縄県が防衛局に影響評価を再要求


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
護岸に消波ブロックを設置する大型クレーンなど、約2カ月ぶりに工事が再開された新基地建設現場=12日、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸

 沖縄県は25日、宜野湾市の米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で、埋め立て予定地周辺でジュゴンのものとみられる鳴き声が確認されたことを踏まえて、工事の中止と工事の影響評価の実施などを求める行政指導文書を沖縄防衛局に送った。11日に防衛局側から県に、従来通りにジュゴンへの影響を回避・軽減するための措置を講じながら工事を進める方針との回答があったことへの対応。埋め立て予定地周辺では2月と3月に、ジュゴンとみられる鳴き声が確認されており、県は今月4日までに2度、防衛局に工事を停止し、ジュゴンの生息環境などを調べ、工事のジュゴンへの影響を再評価するように求めていた。

 11日の回答で防衛局側は(1)工事によるジュゴンへの影響はない(2)国際自然保護連合(IUCN)が昨年南西諸島のジュゴンを絶滅危惧IA類とする以前に環境省がすでに絶滅危惧IA類に指定していたので新基地建設事業の環境影響評価はジュゴンの希少性を考慮しており再評価は必要な状況ではない―などとしていた。

 県側は防衛局の回答に対し「専門家の意見を聞くことなく判断したのは工事再開ありき」とした上で「絶滅の危機にひんしているジュゴンを最大限保護するという姿勢が見受けられず容認できない」と指摘している。