米軍基地内のコロナ感染情報開示を要求 沖縄県議会、全会一致で決議 県も対策強化求める


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在沖米軍に対する新型コロナウイルス感染防止対策を求める決議と意見書を全会一致で可決した県議会=10日夜、県議会

 本島北部のキャンプ・ハンセンなど米軍基地内で新型コロナウイルス感染者が相次いで確認されていることを受け、県議会(赤嶺昇議長)は10日、感染者や濃厚接触者の行動歴などの情報開示や日米地位協定の抜本改定などを求める意見書と決議を全会一致で可決した。日米の関係機関に対し、感染者の基地内隔離と外出禁止の徹底や、感染者数、濃厚接触者数、行動履歴など情報開示のほか、日米地位協定を改定し、検疫法など国内法の適用を求めている。

 県内では7月に入り、米軍基地内でコロナ感染者が相次いで確認されているが、米軍は9日以降、新規感染者数や行動歴などについて報道機関に公表していない。

 玉城デニー知事は10日に会見し、謝花喜一郎副知事が同日、海兵隊太平洋基地司令官バワーズ准将に電話で(1)感染者数の公表(2)入国する全ての米軍人などへのPCR検査の実施など日本と同様の水際対策(3)県外・国外からの異動者の隔離措置は原則基地内で実施すること―などを求めたと説明した。県独自で感染者情報を公表する考えは示さず、「米側の方針に合わせたい」と述べた。

 渉外知事会で要請するなど全国の課題として取り組むことも状況を見て検討するという。県の金城典和基地対策統括監は「米軍関係の公表は全国的な課題になる」と述べ、「今後も県としては(米側に)積極的な開示を求める」と話した。

 本会議で可決された意見書、決議は全会派の代表が提案した。本会議では、最大会派沖縄・自民の島袋大氏が「新たな感染者が約2カ月ぶりに確認され、感染拡大が懸念されており、在沖米軍に対しても感染防止対策の徹底が求められる」などと提案理由を説明した。

 決議の宛先は駐日米国大使、在日米軍司令官、在日米軍沖縄地域調整官、第3海兵遠征軍司令官、在沖米国総領事。意見書は首相、外相、防衛相、沖縄北方担当相。コロナ感染拡大防止などの観点から関係機関には出向かず、決議文、意見書ともに郵送する。