米軍基地の雇用形態 国が間接雇用、3種の労務契約


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 米軍基地内で働く日本人従業員は国(防衛省)が間接雇用し、在日米軍へ労働提供している。職種ごとに契約が分かれ、各軍に属して業務を行う基本労務契約(MLC)、非戦闘船舶の乗組員が結ぶ船員契約(MC)、各軍にサービスの提供を担う諸機関労務協約(IHA)の3種の労務提供契約がある。

 沖縄防衛局によると2020年6月末時点で、在沖米軍基地で働く日本人従業員は8557人で、MLCが6390人、MCが8人、IHAが2159人いる。社会基盤の維持に必要な飲食、小売り、消防、警備などの従事者は、現場監督が「ミッション・エッセンシャル(ME)」と定め、緊急時も通常通りまたは臨時的に変更された時間に出勤することが求められる。

 MEの前身は「ウェザー・エッセンシャル」で、自然災害時に米軍基地への入域が制限されても、社会基盤の維持に必要な従業員が入域できるように定めた契約だった。2001年の米同時多発テロ発生時に、在日米軍基地は警戒レベルを最高の「D(デルタ)」に引き上げ、基地内への入域を制限して大混乱となった。それ以降、あらかじめ警戒レベルごとにMEを定め、事前登録しておくことで、入域時の混乱を避ける目的がある。

 MEに定められたからといって、特別な業務が与えられることはなく、通常の業務を担う。通勤不能な状況であれば、出勤を求められることはない。

(政治部・比嘉璃子)