県への通報は事故から10時間後…F15部品落下 米軍、詳細も示さず


県への通報は事故から10時間後…F15部品落下 米軍、詳細も示さず
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 米軍嘉手納基地所属のF15から部品が落ちたのは4日午前10時半ごろだが、米軍はその日の夕、日本政府に通知した。沖縄防衛局を通じて県に伝わったのは4日午後8時45分だった。落下物の長さについて米軍が説明を一転させる場面もあった。県幹部は通報の遅さに反発。在沖米空軍は再発防止策どころか事故の詳細さえ示さず同型機の飛行を続け、事故に危機感を抱く地元と意識の差が際立った。

 防衛局は嘉手納基地を管理する米空軍の第18航空団から通報を受けた。防衛局は通報を受けた時間について取材には「夕刻」とするにとどめ、具体的な時刻を示さなかった。外務省には地元と東京の2経路で情報が入った。

 日本政府関係者は「米側としてはきちんと事実確認をしてから通報していると承知している」と理解を示しつつ「朝発生して半日たってからの通報はやはり遅い」と指摘した。

 米軍からの情報提供は遅いだけではなく、内容もあやふやだった。関係者によると、米軍は当初、落下物の長さを「7フィート(約2メートル)」と説明し「7インチ(17・8センチメートル)」に修正した。落下物も、米軍が呼んでいる「イーグルクロー」とのみ説明し、一般名称や機能に関する情報はなかった。

 夜に連絡を受けた県は、防衛局を通じて入った米軍の情報の訂正も相まって情報収集に苦慮し、4日中の県民向けの公表に至らなかった。県幹部は翌5日朝、通報の遅さに不満を示しつつ「さまざまな課題がある。コロナがまん延している時だ。訓練も控えればいいのに」と語った。嘉手納基地の広報は4日に事故が発生した後、基地のツイッターやフェイスブックに訓練の写真や動画を投稿しているが、事故には言及しなかった。5日午後4時過ぎにもツイッターで大規模演習の実施について投稿し、部品を落としたF15の同型機が飛行している写真を掲載した。

(明真南斗)