「PCR検査に優先順位」専門家会議で議論 一部病院に負荷集中


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 新型コロナウイルス感染症対策について、検査方法の見直しが焦点の一つになっている。県の専門家会議では5日、医療現場の負担軽減を図るため検査の優先順位をつけ、重症化しそうな人や高齢者を優先して検査を行うべきとの意見が出た。現在は感染症指定医療機関に検査が集中し、医師らの負担増加が指摘される。県は検査ができる医療機関を増やして状況を改善することを検討する。

 県のコロナ対策本部関係者によると、専門家会議では、7月に県内のこども園で陽性者が見つかった際の対応が議題に上がった。1人の陽性者が出たことで園全体のPCR検査を実施した。検査に当たった医療機関にはかなりの負担があったと報告があったという。

 新型コロナに関して保健所は患者の情報を収集し、濃厚接触者をリストアップする。患者1人につき濃厚接触者は10人程度。保健所は多くの濃厚接触者を感染症指定医療機関の外来に紹介する。外来では、感染症専門の医師が検体を採取する。本来であれば治療に集中するべき医師に負担がかかる形となっている。専門家会議では「医師が治療に専念できる体制にあるとは言い難い状況だ」との意見も出た。県の糸数公保健衛生統括監は「検査できる医療機関を増やして、県立病院に集中しない体制が必要だ」との認識を示している。

 保健所スタッフの業務状況も厳しくなっている。感染者の濃厚接触者から感染者が出れば、その濃厚接触者をさらにリストアップする必要がある。5日の専門家会議では、重症化のリスクがある感染者を早く見つける仕組みを、保健所で構築するべきだとの意見も上がった。