空港でコロナ唾液検査 沖縄県議会が条例検討 陰性の来県者に「検査済証」発行


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那覇空港=2020年2月

 沖縄県内で新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、水際対策を強化するため沖縄を訪れる観光客などの往来者に対して、空港内で唾液による抗原検査を促す条例制定に向けた動きが県議会内で始まっている。条例の内容は強制力を持たすものではないが、検査で陰性となった往来者には「検査済証」を発行することで、本人だけではなく観光客らを受け入れるホテル業者など双方が安心できる環境づくりを目指す。

 現在、県議会の赤嶺昇議長と中立会派・無所属の会の當間盛夫代表ら県議有志が素案を作成しており、早ければ週内にも各会派に条例制定に向けた議論に参加するよう呼び掛ける方針。検査の実施は那覇空港など県内の各空港を想定する。検査にかかる費用や人員規模については今後、県を交えて検討する考えで、當間氏は条例制定の意義について「本来、国が法改正などを行い実施すべきだが国の動きを待っていては感染拡大は止められない」と語った。

 条例制定に向けては、6月定例会で可決した新型コロナウイルス感染症対策に関する条例を改正する案も検討されたが、他の条文との整合に時間をかけるよりも新たな条例を制定した方が早いと判断した。精度の高いPCR検査の実施も検討しているが、結果判明に1日程度かかることなどから、30分程度で結果が分かる抗原検査が「より現実的な手段」(赤嶺氏)とみている。

 空港での抗原検査を巡っては、県が政府の観光支援事業「GO TO トラベルキャンペーン」が始まった7月22日から独自に那覇空港で実施しているが、現在は医師の確保ができないため検査ができない状況が続いている。

 県内の医療提供体制が逼迫(ひっぱく)し、医療従事者数が不足する中、与党内には「法的にも財政的にも検査の拡充などは政府の責任でやるべきだ」との声も根強く、条例制定に向けては不透明な要素もある。