感染広がる宮古島 「県や市は踏み込んで対策を」医療体制のもろさに危機感


この記事を書いた人 Avatar photo 大城 周子
県立宮古病院

 【宮古島】新型コロナウイルスに感染し、宮古島市の県立宮古病院に入院していた高齢女性が死亡したことを受け、市民からは10日、「医療体制の脆弱(ぜいじゃく)さが突きつけられた」など、不安や懸念の声が上がった。

 市内の女性(68)は「高齢者は死亡率が高いと聞く。死と隣り合わせの気分だ」と不安をにじませる。県によると宮古病院のコロナ対応病床は8日時点で22床(重症対応1床)で20床が埋まっている。人工心肺装置「ECMO(エクモ)」に関しては「本島で診療する必要がある」としており、患者や重症者急増に備えた対策強化が急務となっている。

 宮古島市内ではクラスターが発生するなど感染者が増え続けており、10日までに31人の感染が確認された。市内で飲食店を経営する男性(53)は「経済より命が大事」と営業自粛を続ける。「ついに死亡例が出て、医療体制が脆弱だと突きつけられた。来島は最小限などと控え目なことではもう駄目だ。県や市がロックダウンするぐらい踏み込まないと感染は収まらない」と憤った。

 宮古と同じ医療圏にある多良間村でも動揺が広がる。持病がある高齢者と同居する50代の女性は「子どもたちが島外にいるが帰省させていない。どこから感染するかわからず非常に不安だ」と話す。宮古島への通院を控える島民も出ている。子どもを専門医に通院させている40代の女性は「多良間は宮古より医療体制が脆弱だ。コロナを持ち込まないために通院させられない」と吐露した。