沖縄、重症者の増加に危機感 県が判断指標を見直し


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 県は11日、新型コロナウイルス感染症の警戒レベルを判断する県の指標を見直す方針を発表した。これまで県が発表してきた「医療体制」の3項目を、国の分科会が示す指標に合わせて発表することを新たに決めた。見直しの結果、県内で用意できる病床の中で重症者に割り当てられる病床の占有率が80・0%に達するなど、複数の項目で「感染蔓延(まんえん)期」を示す第4段階になっていることが判明した。見直しの背景には、医療現場の切迫した状況を反映させる狙いがあるとみられる。

 見直しの対象になったのは、県が発表していた警戒レベルの判断指標のうち、「入院患者数」「病床利用率」「重症病床利用率」の3項目。「入院患者数」は入院中の患者だけでなく自宅療養者らを含む「療養者数」に変更した。

 「病床利用率」と「重症病床利用率」は「病床占有率」「重症者用病床占有率」にそれぞれ見直した。県はこれまで確保済みの全病床数を分母に数字を割り出していたが、重症者用病床と病床をそれぞれ別途に算出。これを受け、10日時点で2・3%と感染初期の「第1段階」に留まっていた重症者用病床の「利用率」は、判断基準が「占有率」に切り替わったことで80・0%に跳ね上がった。

 判断指標の見直しは11日午後に行われた対策本部会議で決定した。見直しの背景には、病床や医療従事者の確保に難航する現場の焦りがある。

 県は感染の「第1波」に見舞われた直後の5月ごろから独自の七つの指標を指針としていた。一方、国の分科会が指標をまとめたのは今月7日のことだった。

 糸数公保健衛生統括監は会見で「引き続き県の指標は継続する」としたが、その後の取材に「重症者に関しては県の指標だと緩い。重症者に対する医療の逼迫(ひっぱく)を示す数字は国のほうが適切だろうと判断した」と明かした。玉城デニー知事はこの日の会見で「(医療の)現場負担は非常に大きくなっている」と強調し、「重症者増加は大きな負荷となり、県民の生命を守る責務にも支障が生じかねない」と改めて訴えた。