劇場の舞台裏に驚き 照明や音響の仕事、芸能体験も 国立劇場がツアー


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国立劇場おきなわの「劇場バックステージツアー」で組踊研修修了生による指導の下、四ツ竹踊りを練習する参加者=1日、浦添市の同劇場

 国立劇場おきなわの「劇場バックステージツアー」が1、2日、浦添市の同劇場で開催された。1日のツアーには大人12人と子ども8人の計20人が参加した。照明や音響など舞台の仕事や装置を見学したり、同劇場の組踊研修修了生による「組踊・琉球舞踊ワークショップ」を通して琉球芸能を体験したり、劇場の魅力を再発見した。

 参加者は「奈落」と呼ばれる大劇場地下で、「廻り舞台」や迫(せ)りの装置(舞台の床をくりぬいた昇降装置)、大道具を作る小部屋を見学した後、花道を通って舞台の仕事に触れた。

 舞台上では、約700の照明機材を駆使して場面にふさわしい明かりが作られていることや、約300のマイクを効果的に使い分けるなどして音が作られていることを学んだ。音響担当がうちわを使って鳥の羽音を表現すると、続いて照明担当が背景用の幕にライトを駆使して青空や嵐、星空を表現するなど、さまざまな演出で参加者を楽しませた。

照明の仕事や役割を舞台技術者に教わる参加者

 ワークショップでは同劇場の組踊研修修了生6人が講師となり、組踊や琉球舞踊の歴史や鑑賞のポイントを話した。組踊で身分の高い人が座る「きやうちやこ(ちょうちゃく)」を持つ「きやうちやこ持ち」の役が、セリフはないが作品によっては20分近く座ったままのため、実は非常にきつい役であることなど、出演者ならではの話題で笑いを誘った。参加者は修了生の指導の下、組踊の唱えや四つ竹踊りを体験し汗を流した。

 ツアーに参加した喜納かなんさん(14)=那覇市=は「劇場地下で見た、回り舞台の装置がとても大きくて驚いた。普段見られない部分が見られて面白かった」と話した。前盛詩乃さん(13)=同市=は「(舞台の)音響が、CDなどの音源だけでなく、物を使って音を生み出していることが分かり、勉強になった」と話した。

 約3時間のバックステージツアーはマスク着用や、ソーシャルディスタンスの確保など新型コロナウイルス感染症対策を講じて行われた。
 (藤村謙吾)