対馬丸の慰霊祭、広島でも開かれる 護衛部隊員が同乗 沖縄とネット中継


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慰霊碑の前で手を合わせる岡本ゼミの学生=22日、広島市南区の船舶砲兵部隊慰霊碑(提供)

 22日に開かれた対馬丸の慰霊祭と同じ時間に広島市南区の比治山陸軍墓地に立つ船舶砲兵部隊慰霊碑前でも慰霊祭が開かれた。対馬丸には、護衛部隊として広島市を拠点としていた陸軍船舶砲兵41人も同乗していた。慰霊碑の前にある刻銘板には「対馬丸乗船 沖縄疎開学童」と刻まれている。今年は初めて二つの慰霊祭をネット中継でつないだ。15人の同級生を対馬丸で亡くし、自身も対馬丸に乗船予定だった梅本テル子さん(84)=那覇市出身=は「戦争が起こらぬようしっかり見てまいりましょう」と参列者に語り掛けた。

 慰霊祭は広島経済大学の岡本貞雄教授がゼミの学生と2018年から開いている。ことしは新型コロナウイルスの影響で中止も検討したが、6月ごろ、岡本教授の元に梅本さんから届いたはがきには「比治山で会いましょう」との言葉があった。岡本教授は「この言葉で今年もやるしかないなと思った。大学がオンライン授業だったので、慰霊祭もオンラインでできないかと思いついた」と話す。

 昨年は100人ほどが参列したが、今年は関係者と岡本ゼミの学生合わせて15人が参列した。岡本教授は「1回でも途切れると次につながらなくなる。継承のために開催できて良かった」と語った。