シュワブ内に残る収容所跡、米軍意向で保存せず 施設建設予定地


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 【名護】新基地建設が進む沖縄県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ内に残る遺跡「大浦崎収容所跡」の一部について、米側の意向で現状保存を行わないことが7日、分かった。名護市教育委員会は沖縄防衛局を通して現状保存を求めてきたが、防衛局は米軍の隊舎・厚生施設の建設予定地が遺跡に一部掛かっているため保存は難しいとして、発掘調査を行い記録保存した後に隊舎を建設する計画だ。市教委によると収容所跡がそのまま残る遺跡は県内でも珍しい。7日の市議会本会議に調査費4034万円を盛り込んだ一般会計補正予算案が提出された。

 同遺跡には通路やため池の跡が残る。2008年に市が遺跡分布調査で発見し13年に県が埋蔵文化財に指定。沿岸部にあった桟橋遺構や炊事場跡は17~18年度に市が発掘調査したが、遺跡本体の発掘は初めてだ。

 隊舎建設は新基地建設に伴うものとみられる。防衛局が市教委に発掘調査を委託。調査時期は11月~来年2月を見込む。市は「広がる可能性がある」として遺跡の面積を断定していないが、うち7260平方メートルが工事範囲と重なる。計画では遺跡に隣接する美謝川に隊舎建設用の仮設橋梁(きょうりょう)を架ける予定で、発掘は橋梁部分から着手する。市教委によると、防衛局から「米側は『(隊舎建設は)この場所にする必要がある』と述べている」と連絡があった。

 大浦崎収容所跡地については、住民の遺骨が眠っている可能性も指摘されている。市教委は15年度に跡地北側に残る墓地を試掘したが、遺骨は出なかった。