ヘリ炎上の地主落胆「米軍の説明・謝罪ない」「地位協定なぜ変えないのか」


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 【東】米軍のヘリコプターCH53が不時着・炎上した東村高江。現場となった牧草地を所有する西銘晃さん(67)は、被疑者不詳のまま書類送検となったことについて「過去の事故の事例からも、こうなるだろうと思っていた」と声を落とす。米軍からは事故原因の説明や謝罪はなかったという。「非常に残念だ」と落胆の表情を浮かべた。妻の美恵子さん(66)は「日米地位協定の壁があって十分に捜査できないのなら、なぜ政府はそれを変えようとしないのか。国民のための内閣ならきちんと国民に向き合ってほしい」と訴えた。

2017年に米軍ヘリが炎上した現場で当時の様子を語る西銘晃さん=25日午後、東村高江

 「黒煙の上がっている方向を見て、自宅が燃えているのかと思った」。2017年10月11日午後5時ごろ。作業場所から見えた、もくもくと上がる黒い煙に不安を覚えた。急いで現場に向かうと米兵7人がヘリから避難していた。「爆発の危険性があるので近寄らないでほしい」。自分の土地でありながら立ち入りを止められた。「ボン、ボン」と大きな爆発音が2、3回響き、消火活動は同日午後8時ごろまで続いた。

 事故後、環境基準値を上回る有害物質が事故現場から検出され、土壌の入れ替え工事が行われた。県警が捜査を進める間も、西銘さんをはじめ地域住民には米軍から、事故原因の説明や謝罪は一切なかった。

 「訓練が止まることはないだろう。だからこそせめて原因を説明してもらえれば、少しは不安な思いを和らげることができたはずだが」。西銘さんはヘリが炎上した牧草地を残念そうに見詰めた。

 事故から約3年。今でも遅い日は夜中の午前1時ごろまで自宅近くを米軍ヘリが飛んでいる。美恵子さんは「地域の上空をわが物顔で飛んでいる。いつかまた突っ込んでこないか」とつぶやいた。