久米島町の海洋深層水、取水設備を新設 防衛省が予算確保し支援へ


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 【東京】防衛省は29日までに、沖縄県久米島町などから要望が上がっていた海洋深層水取水設備の新設を支援する方針を決めた。町が提出した要求事案について、防衛省は同日までに所定の審査を終え、今後、財務当局に所要額を求めていく。深層水取水量の増強に向けた取り組みが動き出す。

 防衛省は取材に対し、審査を終えたことを認め「町の要望に添えるよう予算確保に努める」と話した。

 久米島町は、鳥島射爆場がある関係で漁業に制限があり、深層水を使った栽培漁業に力を入れている。

 クルマエビや海ブドウの養殖など深層水の利用が広がっていることを受け、町は約85億円をかけて、取水量を現在の1日当たり1万3千トンから約10万トンへ増強する計画を立てている。具体的な規模は2021、22年の両年度に行う調査結果を踏まえて詰めていく。

 久米島町は今年5月、深層水設備の整備で、防衛省の「民生安定助成事業」を活用しようと、要求事案を防衛省に提出した。同事業は、防衛施設がある自治体が申請できるもので、久米島町は21、22年の両年度に予定している全体計画の策定事業費1億2600万円を要望した。同事業は国が3分の2を補助する仕組みで、国の負担は計画策定費だけで8400万円を見込む。財務省が事業を認めれば、その後の整備費も継続して支援対象となる見込みだ。
 (知念征尚)